02.エッセイ 左手の写真家 佐藤 ケイジュ 書き下ろし

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写真家 佐藤 ケイジュの「脳卒中闘病記」

2序章(長距離ドライブをして、ほんの少しお仕事)

2013年6月初めの東北のロケが終わって東京へ戻り、6月6日からは長崎までのロングドライブが始まります。1人きりなので気を紛らわせる話し相手もいないかわり、気を使う相手もいないので気楽といえば気楽かもしれない。とにかく約束の時間に間に合うように早め早めに動くことを心がけました。

道路地図で計測した距離から安全速度で所用時間を導き出し、休息等の時間を足して、更に事故等で起こる渋滞や自分自身の不調等での時間ロスとしての予備を半日程度折り込んだ計画を立てました。名古屋や大阪は仕事で時々来ていたし、大阪ぐらいまでは様子が分かるので安心ですが、大阪から西が不安ですね。ゆとりを見た計画ができたら、あとは”決断”するだけです。

杞憂と言ってはそれまでですが、仕事の上で時間には決して遅れないよう、余裕を持って早めに現場に到着することは、私がずっと大切にしてきたことの1つです。

いよいよ長崎までの長~いドライブの始まりです。東京を離れ始めると、車は幾分少なくなるのですが、緊張しているには変わりません。今回の長~いドライブの状態を占うには、本日の動きが鍵ですね。

大した問題もなく第二東名から東名・名神と乗り継いで、本日の関門である大阪を通過。2週間後にはセミナーでまたここにやってくるんだなぁ・・・と思いながら大阪の混雑を抜け、中国自動車道に入ると本日の運転の山を越えそうです。今日はどれだけ九州に近づくかで明日のゆとりが確保できるんです。
広島エリアに入る前に綺麗な夕焼けに出会うのですが、高速道路を移動している身なので写真を撮るつもりで景色を眺めながらも、その分しっかりと目に焼き付けて撮影はガマンガマン。
綺麗な夕日を心に刻みながら運転を続け、本州を離れる前に小さめのパーキングエリアで仮眠としたのです。なぜ小さめなパーキングエリアかというと、大型車が少ないからです。この人達は、寒いに付け暑いに付けエンジンを掛けたまま仮眠をするので、小さな車で旅をする者にとっては少々耳障りに感じることが多いから、こんな事態を避けるために泊まるエリアを選ぶのです。

夜明け前に起きて移動再開です。明るくなる前に関門橋に差し掛かってきたのですがここも撮影にはタイミングが合わないので、仕事優先ということで個人的撮影はあきらめ、薄暗い中を九州道に乗り継いで一路夜明けの小倉に向かいます。

高速を離れ、一般道を走り続け古くからの焼き物の町“伊万里”を通り過ぎ、目的地まであと少しという道の駅まで行って集合までの時間ゆっくり休むことができました。そうは言っても、あまり休みすぎて仕事の緊張感が抜けてしまうのも別な意味ではそれも問題なので、のんびり過ぎないで休むと言う微妙な休憩でしたね。

ついに目標地点に到着。カーナビの恩恵によるところは大きかったですね。

そこで、飛行機でお手軽にやって来た担当者たちと合流。

彼らは「昼に食べた刺身定食が絶品だったね~」と言っている。にぎりめし片手に2日がかりで運転してきた私には少々こたえるコメントでしたね~。シートを倒すこともできないくらい荷物を満載するのでやむなく車でここまできた私と、バッグ一つで済む皆様。その差が、ゆっくり食べる刺身定食と運転しながら食べるにぎりめしというのはどうもスッキリしないな…

撮影の仕事を請け負っている私には必要な荷物がたくさんあり、預けられないような道具もあったりするので、お手軽に飛行機で移動するというのは難しいことなのです。

撮影にお借りする場所が決まり、撮影機材を運んで撮影の準備が始まります。しかし実は、ここに来るまでの準備からこの仕事は既にスタートしているのです。前日に東京を出発した時、いや、スタジオで機材の準備が始まった時からこの仕事は始まっています。撮影にスムーズに入れるかどうかはこの準備にかかっていて、この時の準備が仕事に生きるかどうかが決まるという緊張感が私の中で高まります。でも、その緊張感を周りの人々に広げないように注意しながら準備をしてゆきます。

ストロボの光量を測り、カメラをセットしてカラーチャートの撮影をし、そのチャートをパソコンで確認をして露出を決め準備が終わります。ここまで20分位。

担当者から撮影するものが渡され、撮影がスタート。パソコンで詳細の確認が始まり、ピントや光量ムラのチェックがOKとなれば最初のカットが終了します。ここで緊張感を少し緩めないと突然の問題点に視野が広げられないので、私の場合親しいスタッフと軽い会話を交わしながら残りのカットを撮影してゆきます。

こうして撮影実働がほぼ30分を回った頃、担当者から「以上です」の声が上がり本日の撮影が終わりました。あとは迅速に、忘れ物をしないように撤収が始まりますが、以前からこの撤収時に心がけていることがあるんです。

撤収作業は次の撮影の準備”と言うつもりでキッチリとしまうようにしています。仕事のあとに機材の再チェックが必要ないようにしまうという事ですね~

ときには、片づけを手伝おうとしてくれる人がいるのですが、嬉しいけれど遠慮しています。運んでもらうのはお願いしても良いけれど、“しまう”までは機材のチェックの意味もあるので私は絶対に人に触らせません。

2日がかりで長崎まで陸路を延々と走ってきましたが、目的地での作業がほぼ1時間で終了して戻りに入ります。撮影終了時点で撮影データはその場所で渡しましたので、私の責任は本当に終了です。フィルムの時代には無事事務所に戻り、現像が無事上がって、さらに発注者の手に無事渡るまで気が抜けなかったので、デジタルになってから撮影後の気持ちはずいぶん楽になりましたね。

つづく

02

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